普段お湯で出している緑茶も、水から出せば違った味わいを楽しめます。 さらには、水出しによって生まれる嬉しい効果も。
今回は、水出し冷茶を美味しく作るポイントや、水出しにすることで生じるメリットを紹介します。
煎茶に水を入れるだけで作れる
用意するのは、一般的に広く普及している煎茶の葉。量は水100mlに対して3g(ティースプーンで山盛り1杯くらい)です。少量ずつ作る場合は、道具は茶こしのついた急須を用意します。茶こしがなければ、お茶用のティーパックに煎茶を入れましょう。茶こしのついたポットに入れたり、飲むときに茶こしを通したりしても構いません。
まずは、容器に煎茶(または煎茶が入ったパック)を入れて、水を注ぎます。あとは急須を冷蔵庫に入れて1時間ほどおくだけです。ポットに入れて500ml以上の量を作るときは、3~6時間ほど置きましょう。そのままでは茶葉が沈殿するので、飲む前に軽くポットを振ると、茶の味が全体に行き渡り、均一になります。
緑茶だけでなく、紅茶やウーロン茶など、ほかのお茶でも水出しは可能です。抽出にかかる時間は、それぞれの茶葉によって異なるので、様子を見ながら好みの濃さに調節しましょう。 夏場の気温が高いときは、氷を追加して作ると、より冷えた水出し緑茶を作れます。その際は、煎茶の量を2倍程にして濃く作ると、冷たくてもしっかりした味わいを感じられるでしょう。
水出し緑茶をおいしくするポイント
水出し緑茶を美味しくするには、煎茶と水選びが大切です。
煎茶は高級な深蒸しのものにすると、濃く抽出され、より甘みを感じられるでしょう。水出し用に茶葉を細かく粉砕したタイプも販売されていますが、普通の茶葉で十分です。
水は硬度が低い軟水(硬度100未満)を使います。硬水(硬度100以上)にはカルシウムイオンやマグネシウムイオンが多く含むといわれているため、カフェインやカテキンと結びついて、香りや味わいがうまく抽出されません。これはお湯で出すときも同じです。 硬度は、水1,000mlあたりのカルシウムイオンやマグネシウムイオンの量で決まり、10~50程度の柔らかい水が緑茶に適しています。
日本の水は、ほとんどが軟水なので、ペットボトルの水はもちろん、水道水をそのまま使用しても問題はありません。ただし、消毒のためにカルキ(次亜塩素酸カルシウム)が含まれているため、独特の臭いがします。 そのため、軟水を使う前には2~3分ほど沸騰させてカルキを抜きましょう。浄水器を通した水道水も同じです。4~5時間汲み置きしてもカルキは抜けます。ポットで大量に作った場合は、冷蔵庫で保存して1日以内に飲み切りましょう。時間が経つほど茶葉が変質するからです。水出しの後に茶葉を濾したり、パックを取り出したりすると安心です。
また、水出し緑茶はお湯による殺菌がされていない分、容器のキレイさや、飲料水として安全に飲める水を入れることが大切です。特に夏場は注意しましょう。前述した茶葉の変質はもちろん、水出し中に温度が上がると菌が増えるので、冷蔵庫にて抽出するのがおすすめです。
緑茶を水出しにするメリット
緑茶を水出しにすると、お湯で出すのとは違ったメリットがあります。味と効果の面から見てみましょう。
うまみはそのままに、苦みは抑える
緑茶には、うまみ成分である「アミノ酸」と、苦み・渋みの原因となるカテキン、カフェインが含まれています。そのうち、お茶に含まれるカテキン類は4種程あり、そのうちエピガロカテキン(EGC)と、エピガロカテキンガレート(EGCG)の2種類は苦みや渋みが強い成分です。水の温度が高いほど、EGCGが多く抽出され、うまみよりも苦みや渋みのほうが強く感じられます。
一方、温度が低くなると、EGCGやカフェインの抽出は抑えられる一方、うまみ成分であるアミノ酸は同程度抽出されるので、相対的にうまみが強く感じられます。一般的には、緑茶の魅力をバランス良く楽しむため、80~90℃くらいのお湯で飲まれることが多いのですが、旨味を多く含有する高級煎茶や玉露の1煎目は50℃〜70℃の低めの温度で抽出するのがおすすめです。
さらに氷を入れたり、茶葉をあらかじめ冷やしておいたりすると、よりカフェインの抽出を抑えられるでしょう。 水から抽出しておけば、温めても味は変わらないので、苦みや渋みが苦手な方でも飲みやすいかもしれません。
ストレスを軽減させる
お茶に含まられるアミノ酸の一種「テアニン」は、ストレスを和らげ、リラックス効果を促すと言われています。ですが、普通にお湯で抽出してしまうと、一緒に抽出される覚醒効果のあるカフェインやEGCGの働きも得られるため、大きな効果を得られません。 水出しにすればカフェインやEGCGが抽出されにくくなり、よりテアニンがもたらす、心身のリラックス効果を実感しやすくなるでしょう。
自然免疫機能アップが期待できる
また、EGCは白血球の一種であるマクロファージを活性化したり、リンパ球の免疫を増強したりする作用も確認されています。お湯で抽出した場合は、同じカテキン類であるEGCGの比率が高まるため、エピガロカテキン(EGC)の比率が高まる水出しで飲むことがおすすめです。人間が本来持つ免疫力を高めてくれるでしょう。 また、水出しでは緑茶に含まれるビタミンCも壊れにくいため、風邪の季節に飲めば予防になるかもしれません。
まとめ
緑茶を水出しすると、苦みや渋みが抑えられて、茶葉のうまみを強く感じられます。また、ストレスを軽減したり、免疫力が高まるなどの効果も期待できそうです。煎茶と水、茶こし機能を持った茶器(急須やポット、またはティーボトル)があれば簡単に作れますので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。